さに丸紀行

日常で思ったこと、くだらない企画や検証などを投稿しています!

1ヶ月断食して最高の祝福をゲットする

こんにちは、さに丸です。
皆さんはラマダという行事をご存知でしょうか。

 

ラマダーンまたはラマダは「熱い月」の意味[1]で、ヒジュラ暦イスラム暦)での第9月を指す[2]。この月の日の出から日没までの間、ムスリムの義務の一つ「断食(サウム)」として、飲食を絶つことが行われる。
(Wikipediaより引用)

 

とても簡潔に説明すると、イスラム教徒(ムスリム)の方が行う1ヶ月の断食のことです。さすがに1ヶ月間丸々飲まず食わずだと死んでしまうので、断食を行うのは日中のみとなります。とは言っても

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東京の日の出が5:30、日の入が18:00くらいのため、多少差はあれど実に11時間半程度の断食を1ヶ月行い続けることになります。
日の出日の入り計算 - 高精度計算サイト

僕がこの行事の存在を初めて知ったのは、小学校の社会の授業でした。「イスラム教の人は毎年大変なんだよ」と教わる中、僕の頭には2つの疑問が浮かんでいました。

 

・なんでそんなことをするのか
・そんなことが人間に可能なのか

 

前者の方は調べるとすぐに出てきました。

 

ヒジュラ暦で9月を意味するラマダーンに、コーラン預言者ムハンマドに啓示され、イスラム教徒にとって、ラマダンは「聖なる月」となった。

この月において、ムスリム日の出から日没にかけて、一切の飲食を断つことにより、空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人や平等への共感を育むことを重視する。また親族や友人らと共に苦しい体験を分かち合うことで、ムスリム同士の連帯感は強まり、多くの寄付(ザカート)や施し(イフタール)が行われる[3]
(同じくWikipediaより引用)

 

「空腹を経験することで貧困や平等への共感を得る」という、大変素晴らしい意義があることがわかりました。しかし問題は後者です。

 

・そんなことが人間に可能なのか

 

1ヶ月ですよ1ヶ月。1ヶ月間朝昼抜き、しかも水も半日飲まない、そんな生活を送って果たして人体は大丈夫なのでしょうか。さすがに餓死はしないと思いますが、脱水症状や栄養失調などの健康被害くらいはいつ被ってもおかしくなさそうな気がします。

僕はまず、同じ日本人、そして非ムスリムラマダン経験のある方を探しました。でもまあ、流石に好奇心だけでこんな過酷なことする人がいるわけ...


いました。

www.yaserucola.com

このブログを運営する浮田さんから内容の掲載許可をいただいたため、以下この記事のネタバレをやや含みます。ラマダンの過酷さを感じてもらうためにも、時間に余裕のある方は一度この記事を読むことを推奨します。

↓以下ネタバレ含む↓

 

 

結果から言うと、この方はラマダンを途中で断念されています。理由は脱水症状による持病の悪化だそうで、水が飲めないことの厳しさが痛いほど伝わってきました。

しかし同時に、僕の「こんなの無理じゃね?」という懸念はますます大きなものとなりました。ならどうするか。

やってみよう。

 

いざ挑戦です。

開始にあたって

今回ラマダンをする目的は、先述したように

・本当に可能なのかという好奇心
ラマダン本来の意図である、飢餓や平等への共感

の2つが大きいですが、僕にはもう1つ重要な目的があります。それがこちら

そう、寄付(ザカール)や施し(イフタール)です。具体的に何なのかは知りません。調べたら分かるとは思いますが、ここはあえて、断食後のお楽しみにしておきます。
1ヶ月の断食という重い試練を乗り越えた先の寄付(ザカール)や施し(イフタール)ですよ、それはさぞ良いことが起こるに違いありません。
この断食を終えた暁には大学のGPAは5を超え、彼女も8人でき、とにかく人生の全てがうまく行くことでしょう。僕は何がなんでもこの断食を成功させると心に決めました。

ルール

先述の浮田さんの記事より一部をお借りして、このようなルール設定にしました。本来のラマダンにはもっと細かい条件や縛りがありますが、今回は簡略化してほぼ断食のみとしています。一応喫煙と性行為も禁止らしいですが、どちらも生まれてこの方したことがないので大して関係ないでしょう。童貞をメリットに感じる日が来るとは思いもしませんでした。

ちなみに「ビジュラ暦の第9月」は年によって変動するそうです。調べてみると

今年は4月1日〜5月1日のようです。わかりやすいですね。今回はこの期間で断食を行います。

断食しんどそうだけど、意外となんとかなるっしょ!
いや〜、寄付(ザカール)や施し(イフタール)楽しみだな〜!

...ん?


あ...

 

0日目 3/31(木)

ラマダンをすると食生活がバグりすぎて、断食してるのに何故か太ると言う話を聞きました。そんなわけないので、一応今の体重を量って終了時と比べます。

53.9kg
成人男性の体重とは思えませんね。

そして、初日を万全の状態で迎えるための準備をします。浮田さんの記事を読んだところ「とにかく渇きがヤバい」とのことなので、水対策を特に念入りに行います。

500ml+コップ2杯の水を寝る前に飲み、就寝。これで相当な貯蓄になるのではないでしょうか。おやすみなさい!

1日目 4/1(金)

起床直後の感想は「喉渇いた」でした。朝おしっこが30秒間出続けただけで、体感何も変わりません。ラマダンの現実を思い知らされた瞬間でした。

しかしその後も漠然と「喉渇いたなー」とは思うものの、「ああ!水が欲しい!!死ぬ!!」という程には至らず。前の日に水をガブ飲みしたのが実は効果あったのかもしれません。

2日目 4/2(土)

寝る前に大量に水を飲んだおかげで、なんとか日中の渇きは抑えられました。しかし初日に軽視していた「食」の方がだんだんしんどくなってきました。

よく美味しすぎる食べ物を食べた時に「優勝した」と言いますが、まさかコンビニのランチパックで優勝するとは思いませんでした。
これをあと...28日...?

3日目 4/3(日)

群馬県 積善館

友人と旅行に行くという暴挙に出てしまいました。終わった...

と思っていたのですが、調べてみるとどうやら旅行中は免除されるという決まりがあるようです。

https://turkish.jp/blog/%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%B3/

ただ免除した分は後日またやり直す必要があるとのこと。今回は3日間旅行に行くので、その分を終了後に加算します。僕のラマダンは5月3日までになりました。
よく考えると後々苦しむだけなのですが、短期的にみるとただ期間が3日減ったように感じてちょっとお得に見えます。見えるだけです。

とにかく、GWの前半を代償に3日間の猶予を手に入れました。

今はただ、旅行を楽しみたいと思います。

6日目 4/6(水)

ああああああああ!!!!!!

水!!水!!!!!

頼む!!水をくれ!!!!!!

うう...水...

旅行から帰ってきた疲れで帰宅後即就寝し、水を一滴も飲まずに朝を迎えてしまいました。1日目とは比にならないほど喉が渇いています。これはまずい、どうすれば...

 

仕方がないので、18時までの残りの時間を全て2度寝に当てることで対策としました。前夜の水飲みを怠ると死ぬ、ということがわかっただけでも収穫かもしれません。

8日目 4/8(金)

また旅行です。事前に決まってたので仕方ありません。
例によってこの日は借金してチートデイになったので、僕のラマダンは5月4日までになりました。

9日目 4/9(土)

特に何も無く家にいました。当たり前ではありますが、1日中動かないと大した痛手にならないことが判明しました。休日は極力家にいることを心がけます。

11日目 4/11(月)

春休みが終了し、大学が始まりました。僕の平日の予定は大体こんな感じです。

このせいで僕はこれから月・火に毎週6時起きを強いられることになります。日中の活動時間が長くなるのはそれだけで大きな負担ですし、片道2時間という狂った通学時間のせいで体力の消耗も激しいです。

しかし、正直こんなのは副産物です。学校が始まったことによる最大の問題が1つまた別に存在します。それは...

これです。

僕の月曜日の時間割はこうなっているので、普通に考えて断る理由がありません。友人に「今趣味でラマダンしてるから...」などと言おうものなら確実に距離を置かれ、僕の手元にテストの過去問が入ってくることは無くなってしまいます。

この最悪の事態を解決するため、僕はある対策を講じます。

我ながら神の一手でした。「ラマダン中である」という最重要事項は伝えた上で、罰ゲームだと言うことで「なんでそんなことしてんの?」という質問も回避することができます。これにより、僕は大学の友人から「ああ、お前ラマダン中ね」という理解を得ることに成功しました。

12日目 4/12(火)

いくら友人の理解を得られても、6時起きからの2時間通学という事実は変わりません。もはやラマダンとか関係なくしんどいです。

火曜日は授業が午前中だけのため、速攻で帰宅し17:30からのバイトまで寝ることにします。おやすみなさい。

 

 

※バイト先の店長とのLINE

...バイトやめよっかな。

14日目 4/14(木)

毎日の研究により、寝る前に飲む水の量は「もういい...いらない...」と思ってからもう2杯がベストということが分かりました。今後はこれを指標に生活していきたいと思います。

16日目 4/16(土)

先ほど学食イベントを無事回避した僕ですが、もう1つ避けられないイベントが発生しました。それは

これです。
僕は実家暮らしのため、休みの日は母がお昼ご飯を作ってくれます。いつもはすごくありがたいのですが、今月に限っては障壁でしかありません。
僕はいつも朝食を「朝時間ギリギリで食べる暇がないから」と言って回避し、昼食は学食で食べていることにして回避しているのですが、休みの日となれば話は別。昼食を断る理由などどこにもありません。
とりあえずこの日は「後で食べるから一旦置いといて」で18時まで粘りましたが、毎回これをするわけにはいきません。早急に解決策を見つける必要がありそうです。

18日目 4/18(月)

学校の日。どうせ早起きするので、日の出前に起きて朝ごはんを食べる作戦を決行しようとしました。しかしこの作戦には1つの問題点がありました。それは日の出時刻が徐々に早くなっているということです。


4月1日時点では日の出が5:30、日の入が18:00くらいだったのですが、18日には日の出が5:05、日の入が18:16に変化しています。これにより日の出前に朝ごはんを食べるには4:30くらいに起床し、日の出から本来の起床時間の6時まで虚無の時間を過ごすというかなり重い代償を払わなくてはならなくなりました。さすがに労力に見合ってない気がしたので、仕方なく朝ごはんは断念しました。

19日目 4/19(火)

旅行のチートデイだった4日を除いて、断食日数が半分の15日間に達しました。開始前から薄々分かってはいましたが、「食」より「飲」の縛りの方が断然キツいです。正直「食」に関しては夕食+夜食さえ取ることができればほぼノーダメージです。しかし「飲」はそうはいかず、日中常に喉が渇いたなあ...という煩悩と共に生きなければなりません。とは言ってもさすがに少し慣れてきたのか、最初ほど苦痛に感じなくなってきました。

図にするとこんな感じです。「喉渇いたなあ...」と感じてからの耐性ができたため、最初ほど盛大に水を飲まなくてもよくなりました。それでも無対策だと死んでしまうため、先日発明した充足+2の水分量は必須です。これは引き続き寝る前に摂取していきます。

そして先ほど日の出が早くなっている話をしましたが、もっとまずいのは日の入が遅くなっていることの方でした。というのも日の出の時間なんて、朝ごはんさえ諦めればほとんど関係のない数字です。しかし日の入時刻=断食終了時刻である以上、日の入が遅くなる=断食する時間が伸びているということに他なりません。徐々に上がる難易度に気づかないフリをして、後半戦も頑張りたいと思います。

22日目 4/22(金)

この頃から、最高気温26℃くらいのかなり暑い日が増えました。6月かな?
暑いだけで体の水分がだいぶ持っていかれるため、日中のしんどさが跳ね上がりました。かなりまずいです。夜に充分な水を摂っておかないとマジで危険な気がしてきたので、体調悪化によるリタイアに気を付けたいと思います。

24日目 4/24(日)

先日の母「ご飯よ〜」問題が解決しました。
解決法は至ってシンプルで、昼夜逆転のフリをして夕方まで部屋から出ないことです。お母さんごめんなさい...
というか実際に昼夜逆転してた日も数日ありますし、なんならこの生活を1番楽に過ごす方法が昼夜逆転です。休みの日は積極的に夜更かししていこうと思います。

25日目 4/25(月)

1限から授業の日。金土日の昼夜逆転を全て月曜に背負うというのが恒例になり、先週と今週は寝ずに月曜の朝を迎えました。日の出ギリギリまで飲食できるので悪くはないですが、シンプルに眠気がすごいです。睡眠をとるか食事を取るか、ここにきて三大欲求の内2つを天秤にかけるという究極の選択を迫られます。文化的で最低限度の生活は何処に...

26日目 4/26(火)

やってしまいました。完徹で大学へ行った反動で帰宅後即爆睡をかましてしまい、寝る前に水を一切飲んでいません。これはまずいことになりました。これまでの経験的に、今の喉の渇き度合いでは確実に日の入まで持ちません。
悩んだ末に、僕は最終手段に出ることにしました。

 

母「おはよう、今日も大学でしょ?」
僕「うん、でもなんか今日創立記念日で休校みたいなんだよね。」
母「あら、そうなの。」
僕「うん、つい癖で早く起きちゃったw」
母「そう。朝ごはん食べる?」
僕「いや、休みだしもう一回寝るわ。おやすみ。」

 

カス大学生の得意技、自主休講です。出席点を失うのは惜しいですが、大学で渇き死ぬよりは遥かにマシです。ノートを見せてくれる友人に感謝しながら、この日は日の入まで深い眠りにつきました。

30日目 4/30(土)

本来の最終日。残りの4日はGWで全て休日なので、この時点でかなり気が楽です。

約1ヶ月間で日の出は4:50(-31分)、日の入は18:26(+25分)に変化しました。1ヶ月でここまで変わるんだ...。

34日目 5/4(水)

真の最終日。今日の日の入時刻である18時29分48秒まで耐えれば、晴れてラマダン終了となります。この1ヶ月、僕はこの時を今か今かと待ち侘びていました。

あと1分...

あと10秒...

よっしゃあああああ!!!!終わったああああああああ!!!!!!


苦節30日、僕のラマダン生活は今終わりを迎えました。長かった...

始まる前に一応体重を量っていたので、ラマダン後の体重も量ってみます。ラマダン前は53.9kgでしたが果たして...


増えてる...
53.9kg → 55.2kg (+1.3kg)という結果になりました。マジか。
確かにこの1ヶ月、健康面から見れば最低な食生活と就寝時間で生活していたため、妥当だと言われればそうなのかもしれません。
食べる量を抑えても生活習慣が悪ければ効果がない、むしろ太るということが身をもって証明されたので、これを見ているダイエット中の方はぜひ健康的な生活習慣を第一に優先してください。

35日目 5/5(木)

断食が終了して初めての朝、僕は1ヶ月ぶりの朝食にありつきます。

僕が大好きな大戸屋にて、朝からパンパンのトンカツ定食を喰らいました。
あまりにも至福すぎて、この時が僕の2022年幸せだった瞬間ランキング暫定1位にランクインしています。


ごちそうさまでした!!

まとめ

ラマダンを1ヶ月やってみて分かったのは、

・就寝前に水をガブ飲みしないと次の日まで持たない。
・空腹は思ったよりも大丈夫。夕食+夜食で充分。
ラマダンはしんどいが、無宗教の一般人でも全然実行可能。

ということです。1ヶ月前の「こんなこと本当に人間に可能なの?」とか言っていた自分に対しては胸を張って「できるぞ!」と言えます。
そして綺麗事などではなく、本当に「飢餓や平等への共感」を得られた気がします。好きな時に好きなものを飲み食いできることの幸せさを心から実感しましたし、できるなら全人類にその幸せが行き届いて欲しいものです。

またやってみた感想は大きく3つあります。

1. 日本の生活様式ラマダンに不向きすぎる

イスラム圏の国では国民の大半がラマダンを行うため、会社や学校の時間が短縮されたり、休みになったりするそうです。街の飲食店も日没に合わせた営業時間になり、国全体がラマダンに協力的になってくれます。

しかしここは日本。国民の数に対し圧倒的にイスラム教徒の割合が少ないため、会社も学校も容赦なく朝から始まります。ラマダン中に朝から活動するメリットは本当に何一つ存在せず、ただでさえ辛い1限がいつもの3倍くらい辛く感じました。

2. 自分に甘く、他人に厳しくなる

「自分は今大変なことをしている」「自分は他人よりハンデを背負って生きている」という考えが常に脳裏にあるため、バイトや学校で多少ミスをしても「いやでも断食してるししゃあないな...」と思い反省しなくなります。一方で他人が活き活きしていたり、何か良い行いをしても「いや満足に飯食ってるんだし当然やろ」みたいな思考に陥る、断食性カスマインドが芽生えてしまいました。1日3食取るようになってから速攻で治ったので、単純に断食によるストレスも大きそうです。

3. 生活の豊かさが半減する

・暇だしコーヒーでも淹れるか ←飲めない
・カフェで課題でもするか ←何も頼めない
・え?旅行のお土産?ありがとう! ←夜まで食えない

など、細かい場面での制限が地味にしんどいです。正直食に関しては、軽食が食べられないことの方が空腹よりも圧倒的にキツかったです。シンプルに「美味いものを食べる」という楽しみが奪われます。特に休日はできることがかなり限られ、本当に家で寝てるのが1番マシに思えてきてしまいます。日々の生活に占める「食」の偉大さがよく分かる1ヶ月でした。

最後に

僕がラマダンをする最大の目的が何だったか、皆さん覚えていますでしょうか。

 


そうです。寄付(ザカール)や施し(イフタール)です。1ヶ月の断食を終えた今、僕もついに寄付(ザカール)や施し(イフタール)の対象となりました。過酷な試練を乗り越えた末、果たしてどのような寄付(ザカール)や施し(イフタール)が得られるのでしょうか。気になって仕方ないので、早速ネットで調べてみることにしました。

いや〜楽しみだなぁ!一体どんな橋本環奈と付き合えるのかなぁ!

...ん?