初めに
バイオレンスフュージョン
デュエプレ最重量級のロマンカードであり、そのド派手さと性能から一定数のファンを抱えています。
しかし環境での立ち位置はおよそ良いとは言えず、フュージョン使いは日々環境デッキの対策に頭を悩ませていました。
私さに丸もその1人であり、12弾のデザイナーズ環境に立ち向かうべく数多くのフュージョンデッキを試行錯誤して組み上げました。今回はその一部を紹介し、12弾環境の締めくくりとしたいと思います。少し長いですが、最後まで読んでくださると幸いです。
11弾以前のバイオレンスフュージョン
竜極神の殿堂入りにより、10弾終盤のバイオレンスフュージョンはほぼ環境外という状態でした。しかし11弾にて破壊龍神を獲得し立ち位置が回復。コントロールキラーとして再び環境に帰ってくることとなります。しかしガントラビートやバルガライゾウなどどうやっても勝てない相手が一定数存在し、結局はTier2程度の立ち位置に収まりました。当時の参考リストは以下の通り。
環境の構築は鬼ブーストを決めるクリスタルフュージョン型と早期コントロールを狙うフェアリーギフト型の2つに分かれ、少ない種類のゴッドを枚数多めに採用するのが主流となりました。
12弾によるカードプールの変化
ボルシャックNEX、エンペラー・キリコなど環境が大幅に変化した12弾ですが、バイオレンスフュージョンにも1枚の強化パーツが配られました。それがこちら。
神羅サンダー・ムーン / 羅月サンダー
フュージョンのサーチ、マナゾーンからの詠唱を1枚でこなすことができ、速度と安定感がこれまでより大幅に上がりました。13マナ貯めなくても詠唱できるようになったため、デッキ構築にかなりの多様性が生まれました。
また6弾のスタン落ちもフュージョンにとって強い追い風となりました。というのもこれまで絶望的な不利対面であった黒緑ドルバロム、リースドラゲリオンがND環境から消滅。天敵が2体もいなくなりフュージョンは環境的に立ち位置が上昇...すると思っていました。一方ドローソースとして重宝していたストリーミング・チューターもスタン落ちし、5cのドローソースが機械提督デリンダー1本となります。
12弾環境の主な構築
純正墳墓型(環境初期)
最初に多くの人が注目したのが、先ほど紹介した神羅サンダームーンを主軸とした青抜き4cの構築です。
ウルコス、ギフトを絡めて最速5ターン目にフュージョンを打てる構築であり、環境初期にはそこそこ使用者が多く、勝率も悪くありませんでした。しかし環境が進みガブラハンドやエナジースパイラルなどの軽量除去が増えると立ち位置が厳しくなり、徐々に目にしなくなっていきました。
逆張りをするわけではありませんが、僕は当初からこのデッキタイプはあまり強くないと思っていました。最速でサンダーが着地してもマナにゴッドやフュージョンがないと意味がないため安定感がなく、一度サンダーが除去されてしまうと立て直しが難しいからです。なにより本来ガン有利対面である除去コンに不利を取ってしまうのが、個人的にあまり好きではありませんでした。そのため僕は当初から5cの開拓に勤しんでいました。5c最大の強みは、ミラクルとデリンダーの暴力ムーブができる点です。この2枚によって4cとは比較にならない程リソース確保に優れ、コントロール全般に有利をとることができます。そのためまず最初に僕が作ったのは、11弾のクリスタルフュージョン型にサンダームーンを数枚刺した構築でした。弱くはなかったのですが、環境トップメタのNEXにどうしても勝ちきれず、強いとは言いきれませんでした。そこで僕が組んだのがこちら。
ボルシャックNEXへのメタカードとして天使と悪魔の墳墓を採用した5cフュージョンです。クリスタルフュージョンとサンダームーンの両採用が特徴的ですが、羅月でクリスタルフュージョンを持ってくる動きが非常に強かったためこのような構築にしました。この構築は12弾環境初期には結構勝率が良く、レート1600まで上げることができました。
しかしその勢いも長くは続かず、環境が進むにつれて徐々に勝率が悪くなっていきます。せっかく増やしたレートも下がり始め、再びレート1500まで落とされてしまいました。連敗していく中で、僕は明確な不利対面が2つあることに気づきました。そう、NEXとキリコです。
まずはNEX。前段以前の不利対面であったガントラビートと入れ替わりで環境に現れたデッキであり、その圧倒的展開力とカードパワーでこちらの準備が整う前に圧殺していきました。初期の頃はまだ墳墓を入れることで対抗できていたのですが、
・墳墓の存在がNEX使いに認知され始めた
・羅月サンライズの枚数が増えた
・初動の枚数が増え動きが高速化した
などの理由から徐々に勝率が怪しくなっていきました。特に2ターン目ルピア・ラピアから3ターン目羅月サンライズでゲームが終わる事象が多数発生し、現在の僕の構築では先行だろうとこれを防ぐ手段はほぼありませんでした。先3コッコルピアにジャック・アルカディアスが間に合わないことも勝率を下げる原因となり、墳墓を打っても解決策にならない試合も少なくありませんでした。
次にキリコ。同じく前弾以前でフュージョンを苦しめたバルガライゾウに取って代わる形でまずを増やし、構築が確立していくにつれ数を増やしていきました。同じビマナデッキの癖にフュージョンとは安定感と速度が段違いであり、いわばキリコの劣化のライゾウの劣化のフュージョンといった具合でした。ビート対面を捨てフルパワー構築になったことや軽量除去のエナジースパイラルが入り始めたことがキツさに拍車をかけ、今弾1の絶望対面となります。
以上の2つは今弾のトップメタであり、結果的に「この2つに勝てない」という理由でフュージョンは大幅に使用率を減らすこととなります。他にも超速攻系やBロマ、メタルを獲得してもなんだかんだしんどい剣誠など辛い相手は多く、既存の構築の見直しを強いられました。かつては対話拒否デッキ筆頭として考えられていたバイオレンス・フュージョンですが、最早かつての脳死ブーストで勝てる時代では無くなってしまいました。環境の高速化に対応するべく、的確な環境読みと対策を決めていく必要が出てきたのです。僕はこの危機的状況を打破するべく、まずとあるカードの力を借りることにしました。
薔薇城型
僕が見つけた答え、それはローズ・キャッスルでした。
先手ならルピア・ラピア、後手ならコッコ・ルピアに間に合う除去札であり、永続効果のため再展開も許しません。また剣誠は2枚、メカオーは3枚貼ればその時点でほぼ勝ちであり、のんびりマナを貯めてゴッドを投げつけることも可能になります。このようにローズキャッスルに可能性を感じた僕は、早速採用したデッキを組み始めます。その構築がこちら。
ローズキャッスルで羅月サンライズの早期着地を防ぎ、万が一出てきても唯一の有効トリガーであるヘブンとバイオレンスの衝撃をフル投入することでワンチャンを持たせる構築となっています。(破壊されてもマナに送られてもアドなため、序盤の羅月サンライズに対する有効トリガーは実質ヘブバイしかありません。)さらに蒼狼の始祖アマテラスを採用し、山札からも墳墓を打てるようにしたことでより柔軟な戦い方ができるようになりました。また後半に出してもすぐ除去されてしまうサンダームーンに頼るのをやめ、前弾までと同様クリスタルフュージョンで確実にフュージョンを打つ方向にシフトしました。ここまでNEXをメタった甲斐もあってか下がり切ったレートを回復することに成功し、再び1600まで帰ってきました。
当初NEXと剣誠用だと思っていたローズキャッスルですが、ナイトのトレボールやアヴァラルド公、速攻のクルトやブレイズクロー、コントロールのジャックアルカディアスやビューティシャンなど意外にも刺さる対面は多く、とりあえず貼り得のようになっていたのも勝率が良かった要因だと思います。フュージョンミラーでも1枚貼っておけば相手のHDMがこちらのHDMを越えられなくなるため、有効に働くことが何戦かありました。僕は紙のデュエマをあまりプレイしていませんが、最速 4ターン目 2ターン目に貼られる凄惨なる牙 パラノーマルがいかにクソだったかを思わぬ形で知ることとなりました。
とにかくフュージョンに薔薇城というコンセプトは強かったため、さらに改良を加え強化することにしました。こうしてできた薔薇城型マークIIがこちら。
アマテラスで打てる呪文を3種類に絞り、墳墓を確定で打てるようにしました。そのため2枚もいらないと判断し墳墓はピン投に。空いた枠には水単色が欲しかったのでスペース・クロウラーを採用しました。また獅子幻獣砲の枠にジャックアルカディアスを復活させ速攻対策としました。やはりこのカードは優秀です。2面止めれる軽量トリガーは唯一無二です。スタン落ちまで一生使われると思います。
この構築に僕は相当自信があり、2月27日に行われたささぼータッグCUPにもこのデッキで出場しました。キリコ対面でサファイア2体を墳墓で飛ばすなどそこそこ環境トップデッキにも勝てましたが、噛み合いや運もあり決勝トーナメント出場は叶いませんでした。3-2くらいでドロップした記憶があります。
この薔薇城型は前の純正墳墓型よりは勝てるデッキであり、対NEX勝率は5割程ありましたが、まだ勝率2~3割の絶望対面が残っています。そう、キリコです。ローズキャッスルで焼けるカードが青銅の鎧くらいしか無く、2枚貼っても薔薇の使者やアマテラスで速度負けしてしまうことがほとんどでした。そのため今度はキリコ対策をどうするかを考えてデッキを改造する必要が出てきました。しかしこのキリコ対策が難しく、環境終了までずっと頭を悩ませることとなります...
声援型
キリコに勝つにはどうすればいいのだろう...僕なりに考えて出した対策は、的確に盤面除去をすることでした。といっても4~5ターン目に出てくる薔薇の使者やアマテラスを除去できる手段は限られており、そこまで除去を積んでは構築が大きく歪んでしまう、俗に言う「デッキじゃ無くなってしまう」恐れがありました。しかし僕は1枚、自分の動きを通しながら除去もできる理想的なカードを発見しました。それがこちら、
翔天と天恵の声援です。初期剣誠のソウジ対策で度々採用されていたカードですが、時を超えて再び採用候補に上がりました。ブーストしながらアマテラスを除去できる唯一のカードであり、色基盤にも初動にもなるまさしく今求めていた理想的なカードと言えます。僕はこのカードを主軸にした声援型の制作を始めました。
最初に組んだ構築がこちら。呪文の数が増えたためアマテラスが抜け、青を補うために花籠とエナジースパイラルを採用しています。また剣誠に負けてイライラしていたため獅子幻獣砲を4投。強かったのですが、サンダームーンの進化元がデリンダーしかいないのは少し不便だったため、ジャックアルカディアスにしたほうが良いかなと感じました。そこで少し改良を加えた構築がこちら。
獅子幻獣砲をジャックアルカディアスに変更し、やっぱり入れたほうが強いということでクリスタルフュージョンを採用しました。このクリスタルフュージョン、どのフュージョンにも適当に採用できるわけでは無く、羅月サンダーの探索が濁らないように大型呪文が3種類以内の時しか採用できません。運営さん早く羅月とロマノフに超探索を配ってください。
純正型よりブーストもドロソも増え、一見安定感があり強そうに見えます。実際この構築でGametectorの個人大会を一回優勝しており、ようやく結論を見つけたと、僕はそう思っていました。
(↑決勝で友人をボコボコにする図)
しかしこの構築にはある重大な欠陥がありました。それはNEXに勝てないということ。羅月サンライズが重すぎる上に、墳墓を打っても解決にならない、そもそも引けないといった事象が多発しました。僕は墳墓を入れておけばNEX対策になるという大きな勘違いをしていたのです。しかし現実は違いました。NEX対面はローズキャッスルにアマテラスまで入れてやっと五分であり、墳墓を入れるのはただの前提条件だったのです。しかもその薔薇城型だとキリコには勝てません。NEXを見るとキリコに勝てず、キリコを見るとNEXに勝てない。12弾環境最大の問題点を身をもって感じた瞬間でした。こうなるともはやどっちを捨てるかくらいしか考える余地がない...とお思いでしょうか。僕にはまだ、残された最後の手段が1つ残っていました。
ギフトキング型
残された最後の手段、それはフェアリー・ギフトから高速で聖鎧亜キング・アルカディアスなどのパワカをぶつける構築です。
ここまで着手していなかったギフト型の開拓に遂に手を伸ばします。ギフトキングの最大の利点は、NEXにもキリコにも刺さるという点です。その他Bロマやライゾウにも刺さるため、かなりの対面に有効だと考えられます。こうしてできたギフトキング型の構築がこちら。
トリガーも多く投入し一見抜かりのない構築のように見えます。
...見えるだけでした。進化元がジャックとデリンダーしかないため、キングが間に合わないことがほとんどだったのです。やはり最速キングを狙うなら優秀な中継ぎである霊騎幻獣ウルコスが必要なようです。ギフト、キング、ウルコスが入って、フュージョンも打てるデッキ...
あ、
4cでいいじゃん...
構築を考える際まず最初に否定していた4cが、実は今求めている理想形だったのかもしれない、僕はもう何も信じられなくなりました。しかしデリンダーがない分安定感に欠けるのは事実であり、どうにか4cの良いところだけをパクれないか思考を巡らせました。こうしてできた折衷案がこちらです。
ミラクルの枠をウルコスに置き換えることで緑過多を回避、単色が減ってしまった分はジャックを火焔タイガーグレンオーにすることで解決しました。ギフトから出したいゴッドは安定感上昇のため4枚ずつ採用し、ナイトやコントロール用にデルフィンも採用しました。これだ。苦節2ヶ月、僕が負け続けながら考えた最終形態がこれだ。僕はどこか肩の荷が降りたような気がしました。そして意気揚々と、その日のGametectorの個人大会にこのデッキを持っていきました。
現実は非情です。圧倒的カードパワーの前には、環境外デッキの小賢しい対策など一切通用しません。信じられないかもしれませんが、この試合は後攻で最速キングを決めた試合です。このデッキのコンセプトが真っ向から否定された瞬間でした。最速キングが強いのはあくまでもその次にハンデスや除去ができるコントロールや4cにおいてであり、キングだけ立ててブーストしているようではすぐ突破されてしまうのでした。
そして時は2022年3月23日、次弾の実装が迫り、僕の12弾フュージョン開拓史はここで終わりを告げます。
その他没案
まとめに入る前に、組んだものの弱すぎて没になった構築をいくつか紹介します。
まずはこちら、クイーン型です。クイーンアルカディアスを採用しキリコに一石を投じようと考えて組んだこちらのデッキですが、刺さる対面が少なく、一言で言うとキング型の劣化だったため組んで間も無くして使わなくなりました。
次にこちら、生魂転霊型。1600からストレートで1500まで落ちた直後に組んだ構築であり、NEXが憎くて仕方がなかったことが伝わってきます。ブレイブを飛ばせる3000火力を持つティルニアやバジルを自壊し、アド差を広げてフュージョンにつなげる構築です。こちらも一見強そうですが、受けが無いのとNEX剣誠意外に刺さらないことから弱くて没になりました。経験的にこういう実用性の薄いピンポメタの構築を組み始めたらデュエプレに疲れている証拠なので、一度画面から離れて太陽の光を浴びることをお勧めします。しかしパッと見のデッキおしゃれさは随一であり、デッキビルド杯に出したら良いところまで行っていたかもしれません。
最後はこちら、トリガーHDM型です。以前何かでナイトにフュージョンを入れている構築を目にし、トリガーHDMの不毛すぎるミラー対面の緩和になるのではと思いフュージョンを採用しました。しかし実際は対して使わず、普通のトリガーHDMでいいと言う結論が出たため没となりました。
12弾環境の総括
ドルバロムやドラゲリオンの没落により環境上位に留まるかと思われたものの、結果として12弾環境においてバイオレンス・フュージョンは環境外であり、剣誠以外のデザイナーズデッキに安定して勝てないという致命的な欠陥がありました。
最終的に僕が出した12弾の結論構築は以下の通りです。
12弾は世紀のデザイナーズ環境であり、それに抗うには自分の動きを歪めてでもメタカードに頼るしかありませんでした。正直NEXキリコには何をしても不利であり、フュージョン使いだけで無く多くのマイナー愛好家の方にとって苦しい時期であったと思います。決して健全な環境ではありませんでしたが、その中で構築を磨き続けることが1つのモチベーションになっていたことも事実です。なのでなんだかんだ楽しい環境であった、と、終わった後になって少し感じます。当時は絶対そんなこと思っていませんでしたが。
13弾環境でのバイオレンス・フュージョン
最後に、執筆段階であと5時間後にリリースされる新弾環境でのフュージョンの立ち位置を予想したいと思います。個人的にはTier2~3程度には復権すると思っています。超次元呪文の登場により環境が後ろに後ろに寄り、超速攻さえ対策すれば全然フュージョンが戦える速度になるのではないかと僕は考えています。また先日公式から12弾環境で 蔓延っていたクソども 活躍したカードたちのナーフが発表され、NEX、キリコ、剣誠のいずれもデッキパワーを落とすことが予想されます。
【カード能力の変更について】
— デュエル・マスターズ プレイス【公式】 (@dmps_info) 2022年3月22日
第13弾カードの追加を目的としたメンテナンスにおいて、一部カード能力を変更いたします。
詳しくは公式サイトをご確認ください。https://t.co/aS0y7fRXjJ#デュエプレ pic.twitter.com/QMDszR4wkw
しかしキリコだけあまり大きな弱体化ではなく、新弾で強化パーツも増えるため、キリコがどのくらいいるかによってフュージョンの立ち位置は決まっていきそうです。
新弾のカードを使ったフュージョンの構築も既に考えており、今は新弾が待ち遠しくて仕方ありません。真新しくなる環境に想いを馳せながら、本記事を終わりにしたいと思います。ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。
それでは!